三保造船所との共同開発
これまでのKAPFやAPT4の開発経験、それらの現業務への適用実績を活かして新しい概
念に基づいた造船用図形処理システムの開発が始まったのは昭和46年の頃であった。当時、
日本の造船業界は、コンピュータ先進ユーザであり、高成長時代の波に乗って、造船各
社は積極的な合理化投資を行っていた。事務処理のコンピュータ化に加えて、開発の効
率化・期間短縮を達成するために、船殼設計から部材NC加工に至る工程の自動化を図るこ
とが経営戦略上重要な課題であった。もちろん、三井造船・日立造船・三菱重工など大
手造船各社は昭和40年代前半から、設計・製造の自動化システム開発に取り組んできて
おり、自社開発ソフトを中心とした適用を開始していた。しかし、中小造船会社ではシ
ステム開発経験やノウハウがなく、資金力もないため、その対応が遅れていた。そうし
た中で三保造船(株)殿システム商談を進めるなかで浮上してきたのが、中小造船向け図
形処理一貫システム開発計画であった。当社には川崎重工との共同開発、NC言語や図形
処理などの汎用アプリケーション開発の経験があったが、船殻設計からNC加工までを一
貫して処理するシステム開発は未知の分野であった。