Timeline
 少年時代   青年時代     而立     米国時代   欧米時代   而知天命 
子曰、 「吾十有五而志于学、 三十而立。 四十而不惑、 五十而知天命、 六十而耳順、 七十而従心所欲、 不踰矩」
「年をとる、それはおのれの青春を歳月の中で組織することだ」
Paul Eluard ポール・エリュアール


一体いつの頃から『人生の残り時間』を計算するようになってきたのだろうか。
十代の頃、人生とは、小さな村の中の生活と見知らぬ世界に踏み出す期待と可能性があった。貧しい田舎者のコンプレックスとエリート(選民)意識のはざまに揺れる毎日であった。「金色の鳶」の校章と「至誠至善」の校訓……世界の文学に溺れた高校時代があった。

二十代の頃、人生とは、夢と希望、悲しみと苦悩……矛盾に満ちた大海原への旅立ちだった。わくわくしながら毎日を生き、新鮮な感動があった。自然とスポーツに親しみ、知的探求心に満ち溢れ、挑戦的な仕事に没頭した。「若者よ夜明けとともに旅に出よう!」と、魂が見知らぬ世界をもとめていた。


三十代の頃、人生とは、大海原を超えた未知の大陸で、異邦人としての葛藤を乗り越える試練のときであった。異民族・異文化の交流に新鮮な驚きと興奮、喜びがあった。異国で家族と暮らす喜びがあった。数多いたびの中で知る土地と人々、「一期一会」を大切にする精神が育まれた。

四十代の頃、人生とは、世界の国々を旅する中で、安住の地を求めて彷徨う多くの人々に心乱され、美しい日本の自然と平和な日本の人々を想い、そして自らの死に方も考えるようになった。人生観ではなく生命観に目覚めつつあった。過去の分岐点における選択に後悔はないが、とても「而不惑」といえない。

そして五十代……人生とは、余禄である。
「人間50年 下天のうちをくらぶれば 夢幻のごとくなり」